第4回 蘇る日本語ワープロ書院(1)
骨董品データ
商品名 | 書院 WD-120B |
---|---|
製造元 | シャープ株式会社 |
発売 | 1987年頃 |
コメント | 日本語ワードプロセッサの一つ。ワープロで培ったかな漢字変換は日本語文化を救ったと言っても過言ではない。 |
なぜこんなものが欲しかったのか…
田舎育ちの小学生がなぜこんなものを欲しくなったのか、不思議なものです。
しかし今思えば無いものねだりというか、一つ年上の従兄弟がワープロを所有していたためなのかもしれません。
ある日欲しくて欲しくてたまらなくなり、親との長年の交渉(?)の末に買ってもらった品物-それがこの日本語ワードプロセッサ「書院WD-120」
洗練されたスタイリッシュな黒いボディ(注:従兄弟のワープロは白色)
従兄弟のとは比べ物にならない高速印刷(注:後継機種だから当たり前)
従兄弟のとは比べ物にならない10万語の辞書登録数…etc
……どうやら従兄弟に勝ちたかったためだけに買ったらしい。
確か価格は6万円ぐらいしたような気がします……対抗心を満足させるには、あまりにも高い買い物でした。
お母さん、正直すまんかった。
ワープロの機能をマスターせよ
ワープロを買ってもらった私は、水を得た魚の如く連日説明書と格闘していました。
パソコンのワープロソフトを使っている人からみれば信じられないかもしれませんが、当時のワープロは、
文章全体のレイアウトは頭の中で想像しながら作成して、印刷をしてから校正するしかありませんでした(注:一応、画面の右端に1文字1ドットで表現されたレイアウト機能はありました)。
ワープロを使いこなすには、まず各種機能を知らなければなりません。
書院 WD-120Bの機能の一例として、
このような機能を駆使して見栄えのする文章を作成するわけです。
今思えばあまりにも貧弱な機能かもしれませんが、当時はこれで高機能。良い時代になったものです。
そして従兄弟が所有しているワープロにはなくて、書院 WD-120Bに搭載された画期的な機能がこれ。
これまでは拡大印刷をすればドットのギザギザが出てしまうのが当然と思われていたのが、この斜め補正印刷機能によりギザギザが目立つことなく、より体裁が整った文章が作成できるようになったのです。
最後に必要なのは文章力
確かにワープロソフトは性能も格段に向上して、見栄えの良い文章を作成しやすくなりました(そのためには豊富な機能を知らなければいけませんが…)。
けれども思うのです。
最終的に大切なのは文章を書く力なのではないかと。
新入社員が書く報告書やメールの文章を読むと、あまりの酷い内容に愕然とすることが多々あります。大学まで出てこんな文章しか書けないのかと。
相手に伝えたい内容を簡潔にしかも読んでもらうような文章を書くのは大変です。そして自分も未だに出来ているとは言いがたい状況です。
文章を書く力は一朝一夕に身につくものではありません。たくさん本を読んで、たくさん文章を書く訓練を繰り返してだんだんと身についていくものだと思うのです。
もっと判りやすく、より面白い文章を書くことを自分への戒めとして前編を締めくくりたいと思います。このワープロネタ、実は後編があるんです。