いよいよ"膝枕で耳かき"である。 その和の極致とも言える耽美なシチュエーションと裏腹に、店はただの雑居ビルの中に入っていた。
しかし店内の内装は見事と言えた。 薄暗い店内はちょっとしたお茶屋のように木の板で仕切られ、それぞれの部屋は3畳程度の畳敷き。 それぞれの部屋には淡い光を放つ灯籠と座布団がおいてあった。 時代劇でよく見る芸者がいる店の小部屋を想像してもらえればイメージに近いと思う。
それぞれの部屋に通され、大和撫子(=店員)が来るのを待つ。部屋に通された後実際のところほんの数分で来るのだが、 異常に長く永遠の時のように感じる。この時間がとても落ち着かない。
「きっと風俗で女の子が部屋に入って来るまでの待つ時間がこんなのだろうな。……行ったことないけど」
これはY地氏。彼は2回目だが、やはりこの時間は耐え難いものらしい。 落ち着かない時間をもぞもぞと過ごしていると、やがて浴衣を着た女の子(=店員)が入ってきた。
「あ、どーも……。はじめまして……」
女の子が運んできたお茶を飲みながら適当な話をする。 またこの時間も微妙。あぐらをかいてお茶を飲んでいる自分のすぐ隣で、 女の子がちょこんと正座をして私がお茶を飲んでいる姿をじっと見つめている。
ところで。 すぐ隣に座っている女の子が動くたびに襟元からチラチラと黒いのが見えるのですが……。 なるべく見ないように心がけるも悲しいかな。男たるもの美しいものに視線が行ってしまうのは本能。 ああ、これぞ男を狂わす悪魔の技法チラリズム。
(注)ここは風俗店ではありません。
適当に話を合わせていると、女の子は突然自己紹介を始めた。
「申し遅れました。わたくし○○○と申します」
「芸名ですか?」
思わずツッコミを入れてしまった。 どう考えても源氏名です。本当にありがとう(ry
店員は最初否定していたものの、さらに突っ込むとあっさりと認めた。そりゃ、そうだろ。
そしていよいよ膝枕。 膝枕クッションの上に寝かされたらネタ的にネ申認定だったのだが、本当の膝枕まくらだった。 どうぞ、と言われたので遠慮なく頭を乗せさせてもらった。
耳掃除をしてもらっている間、いろいろと興味が頭をもたげてきた。 そして例によって根ほり葉ほり聞いてやった。
忙しいかどうか。この店で働くきっかけは何か。客は男性が多いのか。どんなタイプの客が来るのか……などなど(※1)
(※1)などなど……他にも色々聞いた気がしたが、忘れたヽ(´ー`)ノ
それによると比較的勤務時間に融通が利く仕事をしているので、普段は終業後にここにバイトに来ているらしい。 派遣さんかなと思って聞いてみると残念、普通のOL(※2)をやっている模様。
(※2)普通のOL……これも本当かどうか怪しいものだが。
上司のみなさーん。あなたの部下はひょっとして夜に浴衣着て客の接待をしているかもしれませんよー。
(注)ここは風俗店ではありません。
話を聞く限り店は結構繁盛しているらしい(←たいていどの店員もそう言うが)
たしか20分2,500円だったので、ひっきりなしに客が来たとして60分7,500円。4室あったので30,000円。8時間で240,000円。 アルバイトの時給が2,000円として4人が8時間動いて64,000円。1日の売り上げ約176,000円か。 賃貸料払っても、まぁ悪くない商売か。もっとも今は他にないコンセプトで営業しているので客が入っているが、 今後はリピータがどれぐらい来るかが勝負だろう。
事前にY地氏から仕入れた知識のとおり、耳掻きの手腕は……正直微妙。 ヨコヤマ氏は耳マッサージを受けて「ただ耳を引っ張っているだけじゃん」と憤慨していた。
私の方は翌日以降、なんか耳に溜まっている感じがする……と掃除してみたら血の固まりが出てきやがったヽ( ´Д`)ノ
ただヨコヤマ氏が一番不満だったのは、常に横向きか仰向けに寝かされていたことらしい。 うつ伏せで太股に顔を埋めさせてくれれば良かったのに……と力説していた。
(注)だからここは風俗店では(ry
こうして短時間ではあったが日本の文化(?)を堪能したのだった。世の中には不思議な世界があるものだ。
ちなみに耳掻きは医療行為ではないので、お上の許可を貰う必要はないらしい。日常ありふれているけどできないこと。 他にも商売のネタは隠されていそうではある。
- 【参考リンク】
- 低反発ひざまくらクッション-楽天市場
- 山本耳かき店
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