人間には性格的に何種類かタイプがあって、そのタイプの一つに切羽詰まらないと動かない人間がいる。
締め切り前の作家のようにケツに火がついてからやっと動き出す。そんな人間が……。
………実は自分はその代表だったりするのですが。
前の会社に勤めているときに、後輩たちから「そろそろ鞄を買い換えましょう」という盛んに言われ続けていた。 聞いてみると私が普段使っている鞄は"ダサイ"のだという。そういえば後輩のみならず弟からも「鞄が浮いている」と有り難いアドバイスを頂戴していたような。
周囲からはチープだの安っぽいだの似合ってないの大合唱だったが、私から言わせれば冗談じゃないと言いたい。なにを隠そうこの鞄。イタリアの超有名ブランド「VALENTINO」の鞄なのだ。 "バレンティノ"じゃない"ヴァレンティノ"である。
……………ところで"VALENTINO"のロゴってこんなショボイ"V"だったか?
そしてこの歴史ある"1921年"。VALENTINOの起源は1959年じゃなかったっけ?
ヨーロッパをはじめとする世界の社交界では憧れの的となっているヴァレンティノは、名実ともに「世界のトップ・デザイナー」として君臨している。北イタリアのヴォゲラ生まれ。その輝かしいキャリアは1959年、ローマのアトリエハウスからはじまった。
ヴァレンティノ輝かしい才能の歴史より
「VALENTINOの起源は1921年であることはノストラダムスによって予言されていたんだよ!」「なっなんだっ(ry」
(´-`).。oO( どうりで5,000円は安いと思った…… )
そんな鞄でも使い続けて6年半。いくらダサイと言われようが、これだけ使っていれば自然と愛着が湧いてくるというもの。 そして自分自身周囲が言うほど"似合っていない"と思っていなかったので、外野からの声をのらりくらりと聞き流してきたのだった。
そんな今日。
いつものように鞄を持ってオフィスに出勤しようと恵比寿駅で下車した瞬間。突然鞄を持つ手の重量バランスがおかしくなった。 一瞬前を歩いている人に鞄が引っかかったのかと思ったものの、ふと手元を見ると見るも無惨に取っ手がちぎれていた。
その鞄は前の会社に入社するときに購入した鞄でもあった。それが新しい会社に移ってから2ヶ月経たないうちにご臨終。 これも何かの因縁なのだろうか。
そんなことよりも。
とりあえず代わりの鞄を買わないと今日荷物を持って帰られない。夕方「アトレ恵比寿」に鞄を捜して三千里。
売り場で紳士用の鞄を見るが、正直どれが良いのかサッパリわからん。(←今まで鞄を買った経験がほとんどないから)
店員に「ビジネスでも使えてカジュアルでも使える鞄で、シックで高級感溢れる作りなのだがそれでいて値段は安い。 もちろん丈夫なことが条件。そんな鞄はないか?」などと聞こうと考えたのだが、「そんな鞄はありません」と即答されそうだったので断念した。
しばらく悩んでみるものの候補すら挙げられない有様。そこでふと服などを買うときの教え「服屋に来る客や店員の服装を見ろ」を応用することにした。 鞄売り場の店員が接客中に鞄を持っているわけないので、アトレの中をぶらぶら歩きながら客がどんな鞄を持っているかチェックすることにした。
ところが自分が言うのも何なのだがどいつもこいつもセンスがない。特に男性サラリーマン。まったく参考にならない。 やはり服装のセンスがある客が持っている鞄を見なければダメか。と思ったものの、そう条件に叶う人間はなかなか見つからない(女性はオシャレな人が多かったのだが……)
結局鞄の師匠は発見できず、これも諦めた。
鞄売り場に戻った私はセンスが良いかどうかではなく、どんな機能を持つ鞄を求めているのか考えてみることにした。 すると次の条件を思いついた。
- 前の鞄のようにフックタイプはものを入れすぎると閉まらなくなるので却下
- 長い通勤時間の間に本を読むので、本を入れていくことができるポケットが外側に欲しい
- 長い通勤時間の間で席に座れれば、膝の上にノートPCを広げたりするので平らな鞄が良い
- 握りがしっくりくるのが望ましい
そう考えるとこれまで候補すら挙がらなかったものが、いくつか候補が絞れてきたから不思議なものだ。挙がった候補の中でいくつか鏡の前で持ってみて、最も自分に似合ってそうなやつを購入。
ちなみにこの鞄。おいくら万円したかというとおおよそ4マソエン。自分にしてはずいぶん思い切った買い物をしたものです。 職場の皆さんにも「なかなかいいじゃん」と高評価を頂いた(←じつはお世辞?)ので、喜び勇んでで帰宅した。
そしたら目ざとく親に発見され、鞄を購入したことを告げるとドン引きされた。
「お前はなに鞄に4マンエンもかけているんだ。アホじゃないのか。金銭感覚がマヒしているとしか思えない。そんな鞄を買っている余裕があったら家に金入れろ(※1)……(以下延々と続くので省略)」
(※1)家に金入れろ……家に入れている家賃を昨年一年間分滞納しているので文句は言えないのです、ええ。
せっかく鞄を購入して盛り上がった気分も全て台無し。1,2年しか使わない携帯電話に数万円かけて購入する人間が多い昨今。長持ちしそうな鞄に4マソエン投資するのは無駄な買い物ではない気がするのだが。 というか親がレンタルやら購入したチョソ流ドラマのDVDやチョンの音楽CDに投資した金よりよっぽど有意義だと思いますが。
ただこのセリフを口に下が最後。烈火の如く怒り狂って全面戦争に発展してしまうので言えないのが心苦しい。
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