お断り:この記事にはかなり不快な内容が含まれております。お食事をしながら読むのはご遠慮下さい。
運命というのは恐ろしいもので、ある日突然に坂を転げ落ちるように転落していくのだ。
しかし拾う神あれば捨てる神あり。
翻弄されながらもギリギリ最後の一線で踏みとどまれた。これはそんな些細な日常の話。
昨日から全身の気怠さと悪寒を感じていたものの、お粥を食べて速攻で寝ると体調は回復……したと思っていたが、どうやら甘かった。
出勤するもどうも体調が芳しくない。仕事中ずっと悪寒がする。というより腹の調子は急降下。その後ずっと低空飛行。 トイレに駆け込む度にため息が出る。大事をとって早く仕事を切り上げることにした。
遠距離通勤者の自分にとって、このような状況に陥った場合は切実である。 緊急事態に備えて特急料金でトイレを買う(※1)ことにした。
(※1)特急料金でトイレを買う……ロマンスカー以外の車両にはトイレがないから。ファッ○ン小田急。
新宿駅で特急時刻表を見ると30分後に特急。 途中駅止まりの特急だったが、それでもその駅まで"いつでもトイレに駆け込める"という安心感は何事にも代え難い。 新宿駅で30分も待つことが時間の無駄のように思ったが、背に腹は代えられぬ。特急券売機の列に並んだ。
ところが……。
自分の目の前の中年ババァが操作に手間取り(※2)もたついているため、なかなか自分の順番が回ってこない。 イライラする。隣の列は次々と人が回転しているというのに。
(※2)操作に手間取り……確かに慣れないと自動発券機で特急券を買うのは難しい。だったら有人の窓口で買え。
そしてなんということだ。そのくそババァのせいでお目当ての特急は目の前で満席になってしまったのだ。ファーーーーック!
ああ、天は我を見捨てたもうたか!
ちなみにその次の特急は1時間後。1時間も待てるか、ばか。一刻も早く全車両にトイレを導入しやがれってんだ。
……やむを得ずいつも通り急行で帰らざるをえなくなった。
長年の研究の末、このような非常時に発動する作戦がある。名付けて「冬眠作戦」。
- 作戦その1-何が何でも座席を確保する。座れなかった時点で撤退。
- 作戦その2-速攻で寝る。
以上。
あとは目的駅までひたすら眠り続ける。眠り続けている間は腹痛を忘れることが出来る。言うなれば全身麻酔状態?
私は幾度となくこの作戦で危機を脱してきたのだ。 時々あまりの激痛に冬眠状態から目覚めてしまい、この世のものとは思えない苦痛を味わうが……。
目的地まで行く急行には、まだ電車が来ていないにも関わらず人が列を作って待っていた。 その列の中でもホームに「優先席」(※3)と書かれた列を避け、人が少ないところを選んで並ぶ。
(※3)「優先席」……文字通り「優先席」のある場所がこの場所に止まる。非常時とは言え優先席を占領するほど勇気はない。
ところが私としたことがなんという不覚。
私が並んだ場所は先頭車両同士の連結部分(※4)だったのだ。
(※4)先頭車両同士の連結部分……途中駅で切り離しを行うため前6両、後ろ4両の間に連結部分が存在する。
普通のドアであれば、列は左右それぞれ奥、手前と4カ所にバラけるため座れる確率は高くなる。 が、連結部分だと左(または右)どちらかには座席が存在しないため競争倍率は2倍に跳ね上がる。
(これはやばい……)
座席確保絶対安全圏内に陣取ったつもりが前提条件が崩れたため、冬眠作戦は撤退を余儀なくされるかもしれない。 どうやら他の乗客も座席確保に必死の様相。他の列より明らかに雰囲気というか気合いが違う。
まるで発走前にゲート内で入れ込む競走馬のようだ……。
(後編に続く)
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