浜辺であまりにも簡単なサーフィンのやり方を教わり、いよいよ海へ。
波がボードを押してくれるから、あとは立つだけだ。など簡単に考えていたものの、それが甘い考えだと言うことを思い知らされました。
果たして初挑戦、初勝利は達成できたのか。
サーフィン初体験の完結編。
もう少し後ろとか前とか、右とか左とか、コーチ2人の適切なアドバイスにより、なんとかボードの上にしがみつくことができた。 Y本コーチにボードを支えてもらい、頃合いの波が来るのをひたすら待つ。
(Y本コーチ曰く)初心者向けの波がきた。
「パドル!」
「はいっ」
Y本コーチがタイミングを見計らって声をかけると同時に、ボードを勢い良く押す。
全力で浜辺に向かって水を掻いた……瞬間にバランスを崩して海中に転落。
また塩水飲んだ。それを見て大笑いするS角コーチ。
……サーフィンって難しいな。
気を取り直してボードにしがみつく。そしてチャンスを待つ。
「パドル!」
「はいっ」
かけ声を合図に全力で水を掻く。突然、ググッと体が急加速を受けるの感じた。水を掻いていたときとは明らかにスピード感が違う。波を切る。この疾走感。
ここで勢い良く立ち上が……れれば湘南のヒーローになれたのだが、どういうわけか全く立てない。
ボードに腕を立てたまではよかったが、立てた腕がブルブル震えて言うことを全くきかない。もたもたしている間に波打ち際にまで流された。
……私はどうやらサーフィンを大学のナンパ目的のテニスサークルと同程度に考えていたようだ。スノーボードと同じようなものだと考えていたが、その考えはスイーツ(笑)並に甘いものだった。
雪山の斜面は待ってくれる。だが波はこちらの都合など、これっぽっちも考えてはくれない。ほんのわずかなチャンスの間に水を掻き、腕を立て、体を起こし、立ち上がらなければならない。
「わずかなチャンス」とか「本番」というものに滅法弱い自分にとって、これほど難しいものはなかった。
サーフィンに来たからには自分も波に乗りたいだろうに。辛抱強く教えてくれてコーチたちには本当に感謝。あまりの下手っぷりに匙を投げられたせいかここでコーチ交代。
「Yさんは実践すぎるんですよ。やっぱここは基礎からいかないと」
波打ち際に戻されて、再びボードの乗り方から。2人教わるうちに運動神経が絶望的に悪いこの私でも、なんとかボードにしがみつくことはできてきた。
しかし途中から寒さで震えが止まらなかったのには困った。ウェットスーツの内部に水がどんどん入ってきてそれが体を冷やす。
後で調べたところによると、スーツの内部には水は入ってくるもの。しかしスーツが体にマッチしていれば隙間はわずかなので入ってきた水は体温で暖められて寒さを感じないのだとか。
なるほど。すると私は9月の海を真っ裸で泳いでいるようなものか。
さらに最悪なことにまた足の指が吊った。初めてプールに行ったときの嫌な記憶が蘇る(→水泳東海道五十三次参照)。どうやら体が冷えると足の指が吊るらしい。
これが自分一人だったらば「今日は終了。よく頑張った、俺」などとあっさり見切りをつけているものの、横には自分の時間を犠牲にしてまで熱心に指導してくれるコーチ2人。……とても言い出せず、海底の砂に足の指をグリグリ押しつけながら耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ。
結局、波に乗れないどころか耐え難い寒さと足指の痛さとの戦いの中で、私の初サーフィンは敗北で幕を閉じた。
サーフィンは"波に乗れて"初めて面白さが実感できるのだと思う。
私にはまだサーフィンの楽しさがわからない。
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